T-252　ハウスサンアントンのカフェ用テーブル

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野沢温泉村にある『ホテル ハウスサンアントン』様からのご依頼で、カフェ＆ショップのテーブルを製作したのでご紹介します。

2023年の冬に、客室305の家具一式をお納めしたことは以前にこちらでもご紹介しました。それから約半年後「今度はカフェで使うテーブルを作って欲しいのですが」とオーナーの片桐健策さんからご連絡を頂きましたので、詳しいお話をお聞きしに現地まで行って参りました。

カフェ＆ショップには、1981年の開業時から使い続けておられるという手作りのテーブルとベンチが置かれていました。丸太を半割りにして作られた迫力のあるベンチと、そのベンチのに呼応するような荒々しいデザインのテーブルは、このショップの言わば象徴的な存在です。しかし40年超の時を経て、さすがに老朽化が気になり始めたとのこと。もし新しいものと入れ替えるのならば、ショップ全体のリフォームも念頭に、改装された店舗でも使えるようなデザインのものにしたいということで、将来も見据えてのご指名でした。健策さん曰く「このショップも客室305のような雰囲気に変えていきたいんですよ」と。そういうことならばデザインの方向性に迷いが生じることはありません。あとは使い勝手のご希望を把握すればOKなので、この点はショップ担当のスタッフさんにお話しをお聞きし、その結果、上図のようなテーブルをお作りすることになりました。

完成したテーブルです。これまで使っていらしたテーブルは、どちらかと言うとボリューム感と荒々しさが特徴でしたが、今度のテーブルはそれとは正反対の解釈で、ディテールはあくまで繊細に、そしてできるだけボリュームを感じさせないように心がけてデザインしました。

こうして見ると脚の長さが際立ちますが、実際にこのテーブルは全体高が74cmと、一般的なダイニングテーブルよりは数センチほど高めの設定になっています。引き続きお使いになる既存のスツールの座面高が45cmだったので、これに合わせたというのが最大の理由ですが、もうひとつ、将来的にはショップスペースを利用して立食パーティー等のイベントも開きたいお考えだそうで、そうした際に配膳台として利用することも考えると、やや高めのほうが利便性が高いだろうという考えもありました。

天板裏面の削り込みと、アーチ状に成型された幕板の様子です。デザインに際して特にこだわったポイントです。このテーブルは、ショップ入口の真正面に設置されるので、このへんのディテールがいきなり目に飛び込んで来るのです。

脚は細い丸足です。見た目の安定感を得るために、下に向かって広がるよう少しだけ傾斜させました。

これは製作途中の脚部です。

脚が細ければ細いほど、接合部分には高い加工精度が求められます。きつすぎず、ゆるすぎず、ちょうど良いところを目指して慎重に作業は進められました。

これは実際にショップにお納めした様子です。この日は営業日でしたので、大胆な撮影はできず、控えめに少しだけ撮らせていただきました。

実は今回、大・中・小の3サイズをお納めしています。小さいサイズのものもいずれご紹介できればと思っています。

カフェ用のテーブルですが、もちろんダイニングテーブルとしてもお使い頂けます。サイズ違いも対応できますし、ウォールナットやメープルなど違う木材でもお作りできます。

おかげさまで良いテーブルができました。『ホテル ハウスサンアントン』のために作ったテーブルなので「サンアントン」という名前にしたいところですが、先に製作したリビングチェアに「サンアントン」という名前を付けてしまいました。さてどうしましょう。楽しみながら考えてみたいと思います。