C-499　埋め込み式の特注仏壇(じゃばら扉)

東京都のTさんからご依頼いただいた、チェリーの特注仏壇です。
Tさんは、ご自宅のリフォームを機にお仏壇を新調したいと考え、安曇野の工房まで相談にいらしてくださいました。

リフォームの計画はある程度進んでおり、仏壇を設置する場所も確保されていて、その場所に埋め込むような形で納めることができる仏壇を作って欲しいというのがTをさんの御希望でしたが、Tさんは、造作家具のように隙間なくピッタリ納めることは望んでおられず、「そのために用意された場所にそっと置かれているようにしたい」ということでのご相談でした。

ところが、Tさんがお持ちの位牌はサイズが大きく、また全部で5柱あり、仏具もフルセットで揃えていらっしゃったので、コンパクトな仏壇では全てを収めることができません。どうしても仏壇そのものを大型化せざるを得ませんでした。このため、横幅に関しては、スペースを目一杯使った収まりにならざるを得ませんでしたが、Tをさんはこれを受け入れてくださいましたので、上図のような仕様でお作りすることになりました。

こちらが完成した仏壇です。ご覧のとおり扉は「蛇腹式」で、扉を閉じてしまうと一見しただけでは仏壇とわからないようになっています。

そして、蛇腹扉を開けた様子がこちらです。

じゃばら式の扉は、左右の扉をそれぞれ中央から外に向かってスライドさせると、扉そのものが家具の側面に飲み込まれていく仕組みになっています。

この動きのことを「扉が側面に巻き込まれて行く」と表現することもあり、このため蛇腹扉は時に「巻戸（まきど）」と呼ばれることもあります。

これは扉を全開にし、御本尊や位牌を配置してみた様子です。

最上段には御本尊、二段目に位牌、下段に仏具が置かれます。三段目の奥には過去帳などを収めるためのスペースを確保しました。

三段目の下にはスライド式の棚板が設けられています。蝋燭やお線香など、炎や煙の出るものはこの棚板の上に置いて使います。

こちらはTさんが送ってくださった写真です。ウォールナットの天板の上にチェリーの仏壇がきれいに納まっています。

今回、設置場所の都合で電源を確保することができなかったので、いつものような天井照明は取り付けませんでした。その代わりに着脱できる充電式のLED照明をご用意しました。照明器具はマグネットで支持されているので、充電の際には器具ごと外してUSBポートに繋いで充電をします。

Tさんから頂いたメールです。

行きつ戻りつ、プロセスでは様々ありましたが、最終的には喜んでいただくことができてよかったです。Tさん、ありがとうございました。